音を覗く(覗かない)

どうも!みくたです。

 

今回は予定を変更しまして、「バイノーラル録音」について紹介したいと思います。
というのも、私このバイノーラル録音をつい最近知りました。
ずいぶん昔からある技術らしく、音に携わる者として知らなかったのが恥ずかしいのですが・・・
本当に素晴らしい体験を提供してもらい、感動したので今回紹介することにします。

○バイノーラル録音って?
さて、まずバイノーラル録音とはなんぞや。ということですが、簡単に言うと

人間が聞いた音をそのまま録音する

技術です!これ、興味の無い人からすると「当たり前じゃん」ってなりますよね^^;
ですが、音響技術的にはすっごく難しいことなのです。

○何が難しいの?
基本的な録音だと、テレビの録音・歌の録音・ラジオの録音などでもマイク(マイクロフォン)を使って
口から出てくる声やその場の音を拾って録音します。現場の様子を見たことがある人も多いかと思います。
しかし、これでは人間が聞こえる音にはならないんですね。

 

何故かと言うと、人間が聞こえる音は“耳で聞いているから”です!

 

おまえは一体何を言っているんだ。という方、もう少し堪えて下さい・・・
どういうことかというと、耳から聞こえる音というのは
・耳介(耳の、音を集めるところ)から反射した音
・肩から反射した音
・頭部を振動して伝わってきた音
・身体を振動して伝わってきた音
・頭部を回り込んできた音
などなど、色々な音が複雑に絡みあっているのです。
そのため、ただ来た音を拾う普通の録音方法では、本来人間が聞いている音と違う状態になってしまいます。

○じゃあどうやって聞いた音をそのまま録音するの?
これがまた安直のようでよく考えてるようでやっぱり安直なのですが、

“人間の上半身の模型の耳の部分にマイク仕込めば、聞こえる音と同じように録音できんじゃね?”

ってことを思いついたわけです。

 

IMG_1006

 

大がかりですが効果は抜群で、かなり本来の音に近い音を録音できるようです。
ただし、聴く側はヘッドホンやイヤホンなどを使わないと効果が得られません。
スピーカーを使うと、音の定位があやふやになり、汚く聞こえるようです。

 

○どんなところで使われてるの?
バイノーラル録音はありのままの音を録音するという趣旨なので、録音した後編集するようなもの、
例えば音楽(特に今時の音源)などには向きません。
バイノーラルが使われるのは、自然の音を録音したヒーリング系やラジオなどの音声系です。(ダントツで多いのはアレ系ですが)

 

○どんな感じなの?
もう、気持ちいい!!
波の音を聞けば目の前に海が広がるよう!
人の声を聞けば耳元で囁いているよう!(どんな音源かはお察しください)
高音質とかハイレゾだとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ!もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ!

 

といったテンションになるくらい気持ちいいです。
本当に自分がその場で聞いているような感覚になるので一度聞いてみていただきたいですね。

 

○最後に
ところでこの技術、昔からあるらしいのですが、どれだけ昔からあるのか調べてみると30年ほど前からあるとのこと・・・
そんなに昔からあってこんなにも本物感が体験できるのに、なぜあまり知名度が無いのかというと、
録音機材が高い・録音後の編集ができない(しづらい)という2つが問題のようです。

 

1つ目はあまり問題ではないのですが(元々音響機材は高い)、導入のハードルが高いのは事実。
2つ目が大きな問題ですが、自然の音そのままを録音したのに編集を加えるのは意味がないということです。

 

今まで編集というのは当たり前に行われ、むしろ必須とされてきたことを考えると、
扱いづらいこの手法が流行らなかったことは当然とも思えます。
しかし今はハイレゾやらDSDなど、本物感が求められている時代。
このバイノーラルも一部では盛り上がりを見せており、今後増えることを期待しています。

ここまで趣味語りを読んでくださった方、ありがとうございます。
せっかくなので是非聴いてみてください。「バイノーラル,自然音」なんかで検索すると出てきますよ。