こんにちは。
今回はENIACとその後継機であるEDVACについて紹介します。
まずはENIAC(Electronic Numerical Integrator and Computer)についてです。
ENIACをWikipediaで調べてみた結果が以下になります。
ENIACは、アメリカで開発された世界初の電子的汎用デジタルコンピュータです。
ENIACはチューリング完全なので、万能チューリングマシンと等価です。
しかし、ENIACの「プログラム」は現代のコンピュータとは違って、
パッチケーブルとスイッチの状態で定義が行われていました。
パッチケーブルやスイッチを手作業で、
プログラムをセットしていたのは6人の女性です。
この6人の女性たちは、現代ではENIACガールズと呼ばれています。
ENIACには、18000本の真空管と、30000個以上のスイッチが搭載されていました。
元々、戦争中は多くの女性がミサイルが進む距離や、
ミサイルの着弾箇所の計算を手作業で行っていたようなのです。
その計算時間の高速化のためにENIACの開発が計画されました。
ENIACガールズと呼ばれた彼女らは、山のような設計図を渡され、
「これらから機械の仕組みを考えて、プログラムの仕方について考えろ」
と言われたそうです。
![](https://blog.oplan.co.jp/wp-content/uploads/2024/01/画像1-4.png)
彼女らは数ヶ月かけて、マシン全体のプログラミングを完成させることができました。
しかし、ENIACガールズの活躍は1997年まで公開されることはありませんでした。
彼女らのうち数人は、世間からの注目を浴びることなく亡くなってしまったそうです。
第二次世界大戦にて開発されたコンピュータが、
今のコンピュータアーキテクチャ(コンピュータにおける基本設計・設計思想)に
変化するための重要なステップが第二次世界大戦末期に訪れます。
初めは、そろばんのようなアナログの装置から、
その次に特定の計算を行うための単純なコンピュータが誕生しました。
机上電卓を例とすると、数字や四則演算の記号の入力は行えますが、
その使用方法は限定されています。レベルが上がるにつれて、もっと他のことがしたいと思うでしょう。
電卓のような「固定プログラム」の場合だと、プログラムに変更を加えるためには、
マシンの再配線・再構築・再設計をする必要があり、大変苦労します。
そして、これまでで紹介したENIACなどのコンピュータですら、マシンの再配線などで手間がかかり、
プログラムのセットアップとデバッグに約3週間もかかっていたそうです。
そこでENIACの後継機であるEDVAC(Electronic Discrete Variable Automatic Computer)の設計が始まります。
計画が始まったのはENIACが動き出す前の1944年です。
この設計に携わったのが、「現代コンピュータの父」と呼ばれるジョン・フォン・ノイマンです。
彼が提出したEDVACに関する報告書の第一草稿では、
ストアドプログラムの概念を使用したコンピュータの論理設計が記述されました。
ストアドプログラムコンピュータは、プログラムをメモリに格納するコンピュータのことです。
そこからさらに、プログラムもデータも同じメモリに載せようという考えから、設計されたアーキテクチャは、
ジョン・フォン・ノイマン・アーキテクチャと呼ばれています。
この考え方は万能チューリングマシンの考えと類似しています。
あるテーブル上に、別のチューリングマシンのテーブルを文字列にエンコードします。
さらに、そのチューリングマシンへのデータの入力も同じテープに書きます。
そして、万能チューリングマシンは、そのテープに書かれた情報から、
元々のチューリングマシンの計算をシミュレートすることができます。
実はノイマンはチューリングの論文を知っていた上で、その影響を受けたことが分かっています。
話をストアドプログラムに戻します。
今でこそ、「プログラムがメモリに保持されていること」は、
当然のことのように思えますが、ストアドプログラムコンピュータが生まれる前では、
プラグボード(もしくは、コントロールパネル) と呼ばれる電気回路の一部をそのまま挿入するコンピュータが使われていました。
プログラムが組み込まれたプラグボードをコンピュータに挿入することで、
デジタルコンピュータとして電気回路が完成し、その命令を実行できるようになったのです。
それとは別にストアドプログラムコンピュータでは、プログラム命令がメモリ上で保持されているので、プログラムを変更することで、異なる命令を実行することができます。
今回はここまでです。
次回は現在用いられているノイマン型コンピュータについて紹介します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。