特撮ヒーロ

昭和から平成にかけて子供たちの夢、もしかしたら将来の夢になっているかもしれない特撮ヒーローですが、実は時代の移り変わりに伴って物語性というものが大きく変わってきています。もちろんヒーローたちの性格や物語も多様化しているのですが、変化が如実に現れているのが「悪」の物語です。昔の仮面ライダーでは特にメリットもなさそうですが単に人々を襲ったり、地球滅亡や侵略といった大きな野心を抱く「悪」の組織がいました。

 

けれど現在の「悪」は違います。基本的に非人道的な行為はするものの、その行為に意味がある「悪」が多く、その動機も複雑化してきています。あるものは娘を助けるため、元人類の怪物は自分が殺されないため、会社を世界規模にしたいそんなラスボスがいました。中にはヒーローが「悪」を倒したけど、本当にそれで良かったのか。怪物だから人から排除される、逆に人間を襲えば今度はヒーローたちに倒される、そんなシビアな「悪」の視点が描かれた作品もありました。

やはりこれらの遷移は情報の受け手である子供たちの知識が充実してきたからなのではと思います。昔よりも簡単に情報が入ってくる現代においてはググればどんな情報も手に入り、世界の裏側の出来事も動画で見れます。そんな世界でサンタクロースの存在を信じる子供が育ちうるのでしょうか?もはや幻想を見破る目をもった子供たちを満足させるにはある程度現実味を帯びた物語が必要なのではないでしょうか?

 

そんな現実味というスパイスが逆にヒーローたちをより輝かせ、大人も楽しめるアクション作品になっているのではないでしょうか?悪には悪の事情、物語があってヒーローにも苦悩があってと最近の特撮は人間模様も楽しめる作品になっています。ぜひ皆さんもこの機会に久々に現代流の「悪」の物語を楽しんでみたいはどうでしょうか?